山本久右衛門さんに贈る

元国務大臣 新党大地代表 鈴木宗男

 北海道といえば、四季折々の「大自然」である。
 まさに神様からの「贈り物」と思う。その大自然北海道の中でも「道東」に魅せられ、27年に及ぶその集大成ともいうべき「写真集グランド北海道」は、まさに道東の魅力を存分に伝えてくれる。
 21世紀は環境の世紀といわれるが、いかほどの人が自然を敬い、自然に感謝してきたであろうか。
 山本久右衛門さんの作品を見るとき、自然に寄り添い、自然のありのままの姿を我々に教え知らせてくれる。そして、自然の恵み、自然という神様からの贈り物を大切に、大事にしなくてはならないとのメッセージにも聞こえてくる。

 何よりも山本さんの人としての「心」「魂」が伝わってくる。
 「道東」の自然は時には厳しい酷寒の地でもある。冬の季節写真を撮りながら、時にはシベリア抑留時代を思い出しながら、亡き同僚や様々な思い出を振り返り、涙を流してシャッターを切ったこともあろうかと想像するとき、改めて山本久右衛門さんのその重く、尊い97年の人生を称えるものである。
 なんとも微笑ましい馬の親子の写真、昆布を干す漁民、キタキツネやヒグマ、鹿の群れ、優雅な丹頂鶴、オオワシ、何といっても広大な耕地、大地の恵みが見事なタッチで目に飛び込んでくる。

 私も山本さんの作品を見ながら引き込まれてしまった。
 単なる芸術作品ではなく、これは人間と自然が織りなすドラマを表している。何よりも人として忘れてはいけない、失ってはいけない愛情、思いやり、慈しみ、人情が私の胸に響いてくる。何とも壮大な胸に迫る「写真集グランド北海道」かと、ただただ頭が下がってきた次第である。

 山本久右衛門さんがご壮健でこれからもなお、道東の自然を北海道はもちろん日本中に、いや世界に知らしめて欲しいと願ってやまない。
 世の中偉い人がいたものである。それも庶民の中にである。
 その名は山本久右衛門である。